Mr.Crowley / OZZY OSBOURNE ~ TAB付き解説
(今回の投稿は、数年前に某SNSサイトで投稿した内容を加筆・編集したものです。動画は新録。)
ギター紹介とアルバムレビューに続き,本日はOZZY OSBOURNEの「Mr.Crowly」from 「BLIZZARD OF OZZ(邦:血塗られた英雄伝説)」(1981)の演奏を。
つか邦題がひどすぎますよね…
アルバムレビューは前回の投稿をご覧ください!
Randy Rhoadsについて
ギタリストはランディーローズ。まず,簡単に彼の歩みから。
クワイエットライオット在籍時は一般的にはそれほど注目されず,知る人ぞ知る,まぁぶっちゃけ無名のギタリストでした(日本でのみCDデビューに至る)。ひょんなことから,ブラックサバスを脱退したオジーオズボーン(Vo.)が新しいバンドを作るために開いたオーディションを受けることに。
オーディションにやってきた多くのギタリストをイマイチと感じていたオジー。そこにやってきた,小柄でギターとちっこい練習用アンプを持ってきたランディーを直感で即採用。オジーは部屋に入ってきた彼を「女の子か天使かと思った」と語ったのは有名な話です。後日ランディーは,チューニングをしていたらいきなり「お前に決まりだ!」と言われた,と語っています。
で,今回の「Mr.Crowly」が収録されているOZZY名義の1stアルバム(1981)は全世界で大ヒットを記録,と同時にこのアルバムで時代先取りプレイを披露したランディーも大注目されました…が,同年暮れ2nd「Diary of a madman」を発表直後の82年,例の飛行機事故でランディーは帰らぬ人となりました。
さて,30年近く経った今でもランディーの人気は高く,彼が参加した2枚のOZZY名義のアルバムは「歴史に残るハードロック/へヴィーメタルアルバム」などのランキングには常連になっているほどですね。ハードロック系のそこのアナタ!この2枚は基本ですぜ。まぁ私も「基本」と言われてるアルバム結構聴いてないんですけど…
Mr.Crowley – Playing analysis and tab
さて,ランディーのプレイの特徴は…この「Mr.crowly」を聴けばおわかりいただけるでしょう。イングヴェイ登場以前,クラシカルなプレイをしていたギタリストはそれほど多くありません。また,ネック上を縦方向に動くフィンガリングだけでなく,当時多くなかった横方向に長く移動していくフィンガリングも多用しています。まさに時代最先端プレイだったわけですね(いやいや,ウリジョンロートがいたじゃない,という突っ込みは無しです笑)
一方,彼の代名詞の1つになっている「クラシカル」ですが,実は彼が一番使っていたのがペンタトニックだということは結構大事だと思います。今回のこの曲でも,中間のギターソロではおなじみペンタトニックフレーズが多く見られますね。
2:09~2:13のソロの入りなんて,定番中の定番フレーズ。TAB譜1の上段ですね。ゆっくりのテンポでもいいからマスターしておけばいろんなところで使える必修フレーズです。TAB譜1の下段,この上昇フレーズはDマイナーペンタの♭5(1弦16f)をポジションチェンジ時にうまく使うフレーズ。結構珍しい気がします。TAB譜をclick!
注)TAB譜は100%正確とは限りません。
次のフレーズはポジションがいくつか考えられ,本人がどのポジションで弾いたかはちょっとわかりません(TAB譜2)。レガートを多用しているのでこんな感じかな。自分で弾きやすいポジションを探してみてください。
チョーキングのタメ具合や歌い回しは,原曲を良く聴いてニュアンスを掴んでください。そうそう,個人的にキモだと思ったのは2:25~2:26の2弦18fからの1音半チョーキング。半音でも1音でもなく,1音半。これが「泣き」を演出していると勝手に感じています。
そして,エンディングのギターソロ。
中間のギターソロに対してペンタトニックが一切使われず,マイナースケール,ハーモニックマイナースケールのみになっています。
あとは和音分散系。トリルも多様。この辺の対比は実に見事。
あとフレーズ1つ1つよりも,ソロ全体の構成が異常にうまいというかカッコいいです。構築美ですね。
理論派のはずですが,意外とアウトフレーズも使用。ソロじゃないけど一箇所,トニックのDmに対して♭9の使用もあります(けど9thも使っていてフリジアンではない)1:58~2:00の部分です。ここのカラクリは,スケール先行のフレーズとして考えるのではなく,フィンガリング先行として考えればあっさり解けます。3弦~5弦まで5,7,8fで統一して弾いているのです(TAB譜3 上段)。
まさにギタリスト的発想で,他の楽器ではなかなか出てこないフレーズですね!ちなみに,3弦のみ8fではなく9fを弾いていれば完全なDmスケールとなります(TAB譜3 下段)。
どうしちゃったの??っていうくらいシンプルな曲なのに名曲,名演。ムズカシイコード進行なんかなくってもいいんだ!!
ちなみにライブ盤もこの曲は際立って素晴らしいです。本当に泣けてくるんですよ,ギタープレイが熱過ぎて。ギターが「泣いて」るんですよね~
私にとってはこのアルバムを聴いてギターを本格的に始めたということもあって,やっぱり大事な曲ですし思い出深いです。今までもこの曲を弾く機会は多かったのですが,この機会に改めてじっくり聴き直して音を採りました。今回の耳コピで,100%とは言わないまでもそれにかなり近いくらいの精度で音を採れたという自負はあります。
早弾きの耳コピ
早弾きの耳コピの際にはwinampのslow me downを使用。検索すればフリーで手に入れられますが,今年の12月に配布を終了するようです。公式では70%まで速度を落とせることになってるけど,そこまでは全然行ってない気が…一応フリーソフトの中ではいい音質だと思いますが,コレ使っても早弾きの聴き取りは苦労します。誰かもっといいのあったら教えて下さい!!
やっぱこーゆーのを撮ると少し悔いも残ったりしますが,まぁこのくらいで。バッキングは簡単そうですが,意外と走りやすいので気を付けましょう。少し私も怪しいですね…
こんな名演を私ごときが弾くなんて,との声もおありでしょーが,天国のランディーは笑顔で許してくれるに違いない。
最後に録音データです。
ギター:Jackson USA SL-1
アンプ:FRACTAL AUDIO Axe-Fx ULTRA
(アンプタイプはPlexi、キャビはRedwirezのMarshall 1960A
録音日:2013年11月16日