松田聖子「SQUALL」


先日の2014東京インターナショナルオーディオショウで購入した松田聖子さんのデビューアルバム「SQUALL」(1980年)のSACDハイブリッド盤レビューです。
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2~3日ほどで早々に完売し,某オークションでは1万円で落札されるなど(予想はしていましたが)大好評のようで,販売元のSTEREO SOUNDでは重盤を決定しました(1人につき2枚までの購入という制限がつけられています)。松田聖子さんのSACD化はファンにとっては待望のものでしたし,なぜSONYは今までやってこなかったのでしょう…

内容としては,正に「完璧な」デビューアルバム。夏をコンセプトにしたアルバムで,そのせいか元気で明るい曲が並びます。
1.「~南太平洋~サンバの香り」は,波の音から始まるリゾートサウンドで,ギターカッティングが気持ちいいオープニングナンバー。
2.「ブルーエンジェル」もオールディーズナンバーのような楽しい曲で,サックスソロもイイ感じに決まっています。
3.「SQUALL」は落ち着いた出だしから,ロック調へ。この曲のギターソロは松原正樹さんで,あの粘った音で最高のプレイを聴かせてくれます。超カッコいい名演なので,ギターを弾く人には是非聴いてほしい曲。
4.「トロピカル・ヒーロー」はイントロのフルートが良い味を出している少しけだるい,落ち着いた曲。
5.「裸足の季節」は松田聖子さんの記念すべきデビュー曲。意外にもギターのカッティングがかなり目立つ曲。
6.「ロックンロール・デイドリーム」は曲名通りロックンロールっぽい曲。ブラスと松原正樹さんのギターがフィーチャーされています。
7.「クールギャング」はベースがかっこいいオールディーズ風味のある曲。ギターソロではミストーンらしきものがそのまま使われていますが,それもまた良い感じになっています。
8.「青い珊瑚礁」は言わずもがなの有名曲。この曲のアレンジ,大村雅朗さんだったんですね。
9.「九月の夕暮れ」はいかにも70~80年代風味の曲。緩急のある曲展開で,今剛さんがさすがのオブリを入れてきて聴きどころが多いので,ギタリストにはおすすめ。サビはメジャーキーで,そのあとマイナーキーに戻るところの進行がかっこよくてお気に入り。この曲は有名じゃないと思いますがほんとイイ!!
10.「潮騒」はボサノバ風味のある少し落ち着いた印象の曲で,余韻を持たせたエンディング。う~ん,素晴らしい。

全ての曲の作曲は小田裕一郎さん,作詞は三浦徳子さん。同じ作曲家がアルバム全曲手がけるのは80年代聖子ちゃんでは最初で最後となります。全盛期を作る呉田軽穂(ユーミン)や松本隆さんの登場はもう少し後となりますが,個人的に松田聖子さんに最も合っていると感じられるアレンジャーの大村雅朗さんはこの頃から既に数曲に携わっています。

ギターは複数名参加していますが、やはり松原正樹さんと今剛さんが外せないでしょう。個人的には今剛さんの方が好きなんですが,このアルバムに関しては参加曲も多い松原さんが凄いプレイをされています。サウンドも素晴らしいです。松原さんの方が中域の出た粘っちい音で,今さんはもう少しシャープな音作りになっています。この辺りも参考になると思います。

全体的に松田聖子さんの初々しく,力強く,よく通る歌唱を素晴らしい曲と素晴らしい演奏が支えるという内容です。サウンドはSONYのBLU-SPEC盤と比べ,音量レベルが抑えられています。それもそのはず,2トラック・マスターからダイレクトにDSD化を行い,マスタリングではノーリミッターで,低域をほんの少し上げただけだそうです(SACD PRODUCTION NOTEより)。聴いていて気持ちがいいですね。よい出来だと思いますし,同タイトルを持っていても再購入の価値はあると感じましたので,10/3から予約をスタートした「Pineapple」と「Candy」の2枚も早速申し込みました。ハイブリッド盤でCD層は通常のCDプレーヤーでも再生可能ですので,手に入れられる内にどうぞ。SACDプレーヤーをお持ちでポップスファンはマストアイテムでしょうが,近々ハイレゾなどで配信されそうな予感もします。

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“松田聖子「SQUALL」” への2件の返信

  1. フューチャーされる、は間違いです。
    正しくは「フィーチャー」される、です。

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